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明日へのベクトル「しなやかに対応する力。」 マーケティングプランナー 臼井 栄三

2017.2.28
 「行き当たりばったり」と聞いて、良い印象を持つ人はあまり多くないだろう。無計画で、そのとき次第。ことの成り行きにまかせて、適当に対処する。一定の方針を持たないので、いいかげんな様子を思い浮かべる人もいるかもしれない。
 そんな「行き当たりばったり」だが、友人と話しているうちに、実は現代こそ「行き当たりばったり力」が大切、という結論に達した。話の中身をかいつまんで説明しよう。
 これだけ変化が激しく、予測も困難な現代では、そのときどきの対応の鋭敏さが盛衰のカギを握る。たとえば半年前に、トランプ大統領の誕生をいったいどれだけの人が予測しただろう。現在では、彼の言葉と一挙手一投足が国際社会に強い影響を与えている。さらに遡れば、いったいどれだけの人や企業が英国のEU離脱を考えていただろう。
 しっかりした方針を持ち、それに従ってぶれずに物事を進めていくことはもちろん大切だ。しかし、その方針に大きな影響を与えてしまう変化が、次々に起こっているのが現代である。確固たる方針に盲目的に従うことが、取り返しのつかない結果を生むことさえある。むしろ、そのときどきの変化にしなやかに対応していく能力のほうが、今の時代には役立つのかもしれない。それを、飾らない言葉で表現すれば、「行き当たりばったり力」になるのだろう。
 広告は、常に時代と共にある。ときには時代と並走し、ときには時代の半歩先を進む。時代に深く関わるのは、広告人の宿命でもある。自分が蓄えた力をどんなときでも発揮できる―。何が起こっても、いつも心の準備ができている―。そんな適応力、つまり「行き当たりばったり力」を、あなたはどれくらい持っているだろうか。

マーケティングプランナー
臼井 栄三