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明日へのベクトル「あらゆる角度からアプローチしたい。」マーケティングプランナー 臼井 栄三

2017.6.26
 「自分自身を証明するもの」として、あなたは何を思い浮かべるだろう。運転免許証やパスポート、マイナンバーカード…。スマホを挙げる人もいるかもしれない。
 だが、持ち物を全て失くしてしまった場合はどうだろう?あなたを証明するものは何もない、ということにならないだろうか。想像したくはないけれど、災害や事故でそんな不運に遭わないとも限らない。実際に、東日本大震災では多くの遺体が長く身元不明であったり、取り違えがあったりした。どんなときでも自分を証明できるものというのは、意外にないものだ。
自身の証明のために足紋(そくもん)の普及を説いている光真章(みつざね・あきら)さんの話を聞いた。足紋とは、足の裏にある渦のような紋様だ。指紋のように人によって全て異なり、しかも一生変わらない。指紋には警察や犯罪捜査のイメージが重なるが、足紋にはそんな手垢もついていない。
 行政や病院をはじめとして、社会が足紋を活用する価値は大きいと思う。災害面だけではない。たとえば徘徊して行方不明になる高齢者もいる。自治体が各人の足紋をデータベース化していれば、身元も簡単に確認できることになる。足紋を読み取るスキャナーもすでに製作されているという。あとは足紋を広く活用していくことへの、人びとの合意づくりが待たれる。
 足の裏という、いつもはスポットのあたらないところに自分自身を証明するカギがあった。陰に隠れているところに解決の糸口がある、一つの例だ。いつも見えている部分しか見ないのでは、ありきたりの答しか出てこない。私たち広告人は、常に突出したアイディアと卓越したソリューションを求められている。あらゆる角度から、対象と課題にアプローチしていきたい。

マーケティングプランナー
臼井 栄三