
株式会社電通北海道 山中 怜奈
「ケーキの分け方から学ぶ、“公平”の話」
わたしはケーキがだいすきです。
最近、妹とカフェでケーキをシェアしたのですが、
そのとき、幼い頃にケーキを分けることで喧嘩したことを思い出し、
懐かしい気持ちになりました。
みなさんにも、そんな経験はありませんか?
実際、ケーキを平等に分けるのは難しいものです。
ナイフで完璧に半分に切ったつもりでも、
「こっちの苺、ちょっと小さいじゃん!ズルい!」
「なんかそっちの方がクリーム多くない?」
といった文句や不満が飛び交い、喧嘩になってしまうことも…。
本当の意味で“平等”に分けるためには、
ケーキをミキサーで混ぜ、同じ重さになるように
コップに注ぐしかないかもしれません。
でも、それではせっかくのケーキが台無しですよね。
しかし、完璧に半分に分ける“平等”な分割が難しくても、
お互いが納得できる“公平”な分割ならできるかもしれません。
例えば、2人で公平にケーキを分ける方法として、
有名なのが「Cut-and-Choose法」です。
この方法では、
・1人がケーキを好きなように切る
・もう1人が好きな方を選ぶ
というルールを適用します。
「切る人」は、どちらを取られても不満がないよう慎重に切り、
「選ぶ人」は、自分が好きな方を選べるので、
お互いのケーキを羨ましいと思うことはありません。
もしあなたが「切る人」なら、どのようにケーキを切りますか?
実は、必ずしも半分に切る必要はありません。
例えば、苺がたくさん乗っていてチョコプレートもあるケーキなら、
「片方にはチョコプレートを乗せる代わりに、苺を少し減らす」
といった分け方も考えられます。
この分け方は厳密に半分ではありませんが、
どちらを選んでも満足度が同じなら、それは“公平”な分割になるのです。
※3人以上で公平に分けるには、さらに複雑な方法が必要です。
興味がある方は調べてみてください!
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実は、ケーキをどのように分けるのが望ましいか?
という問題は、「公平分割問題」と呼ばれ、
経済学やゲーム理論、数理科学の研究分野の一つです。
わたしは大学時代、経済学部で「ゲーム理論」を専攻していたので、
この問題について当社の採用面接時に簡潔に説明したことがあるのですが、
うまく伝えられず、面接官の反応が微妙だった苦い思い出があります(笑)
※ゲーム理論とは?(by AIチャットサービス)
複数のプレイヤー(個人・企業・国家など)が相互作用する状況において、
それぞれの意思決定が全体の結果にどのような影響を与えるかを分析する数学的な理論
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改めて、ケーキ分割の話のポイントは“公平”ですが、
この考え方は日常のちょっとした場面でも活かせるかもしれません。
例えば、仕事のタスク分担。
多くのタスクを分担する際、必ずしもタスク量を半分にする必要はありません。
それぞれの得意な領域でタスクを分担すれば、タスク量が偏ったとしても
お互いの負担は軽減されるのではないでしょうか。
実際、この考え方を応用し、
「妬みのない」家事分担を実現するアプリも開発されています。
ちょっと真面目な話になりましたが、
ケーキの分け方ひとつで、“平等”と“公平”の違いを考えるのって
なかなか面白いなと思います。
頭を使ってケーキの話をしていたら、無性に食べたくなってきました。
きっと今日は、いつもよりケーキが美味しく感じて、体に染み渡る気がします。
(写真は、書き終わったあとにカフェで食べたチーズケーキ)

『明日へのベクトル(連載119)』
打ち合わせを、楽しく自由にやれていますか。
マーケティングプランナー 臼井 栄三
企画を考えるとき、アイディアを出し合うために何人かで集まることはないだろうか。その集まりはブレストと称したり、もっと気軽に打ち合わせと呼ばれたりしているようだ。
この話し合いの場で、ぜひ心がけてほしいことがある。それは、アイディア出しのために集まったメンバーの発言に、絶対にケチをつけないことだ。いいアイディアを生み出すためには、他人の考えを批判しないことが基本になる。
「そんなことはわかっている」という声が聞こえてきそうだ。しかし、実際に打ち合わせに入ると、他のメンバーの発言を否定する声が意外に多く出る。「それは以前にもやったな」とか「そんなことをしたら予算オーバーだ」などといった言葉も良くない。
人は自分のアイディアを批判されると、もっといいアイディアが浮かんでも発言しなくなる。大事なのは、他人の発言をつまらないと感じたときでも「いいねぇ…」「バカらしくて面白い!」などと肯定的な言葉を投げかけることだ。それによって、打ち合わせに参加しているメンバーはいっそう自由に発言する気持ちになれる。
素晴らしいアイディアは、突拍子もない考えや首をひねるような思い付きから生まれることが意外に多い。一見どうしようもない思い付きを踏み台にして、ワル乗りするくらいがちょうどいい。そこから連鎖的に新しい考えが出てくるかもしれない。グッドアイディアは、普段の考え方を飛び越えたときに初めて生まれる。
アイディアを出し合う場に、上下関係や肩書などを持ち込まないようにしたい。参加する全員が自由に、楽しく向き合うことが大切だ。難しい顔と厳しい声はアイディアを遠ざけてしまう。あなたが参加しようとしているその打ち合わせ、ワル乗りできそうですか?
マーケティングプランナー
臼井 栄三