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北広協ニュース

北広協ニュース

2024.04.01北広協ニュース227号

『明日へのベクトル(連載114)』
消費者へ、ベネフィットを明確に伝えていきたい。
マーケティングプランナー 臼井 栄三



「ジャムの法則」というマーケティングで有名な法則がある。

人は選択肢が増えると、選ぶことを難しく感じるようになり、選択すること自体をやめてしまうことがあるという法則だ。

今から30年ほど前、コロンビア大学のアイエンガー教授がこの法則を発表した。スーパーの店頭でジャムの試食販売を行う実験によって導き出されたので、「ジャムの法則」と呼ばれる。

6種類のジャムを並べて試食販売した週と、24種類のジャムを並べて試食販売した週を比較。店頭でどちらが多く売れるかを調べる実験だった。結果は、試食した人数では24種類のジャムのほうが1.5倍の客を呼んだ。しかし購入率では、6種類のジャムを置いた週のほうが24種類を置いた週より何倍も高かった。

導き出されたのは、人は選択肢が多すぎると一つを選ぶのが難しくなり、選ぶ行為自体をやめることもあるという結論だった。いまではこの法則は、さまざまな商品やサービスの販売などで活かされている。選択するものの種類を多くするのは親切なようであるが、実は顧客側の心理的な負担を大きくし、顧客は買うのをやめてしまうこともあるわけだ。

そんなところから「ジャムの法則」は「決定回避の法則」とも呼ばれる。選択肢が多すぎる例は、ネットショッピングでもよく見かける。ここ何年も消費が伸び悩んでいるのは、商品やサービスの選択肢が多すぎるのも一因かもしれない。

広告は商品やサービスのセリングポイントを明快に示し、人びとが受けるベネフィット(恩恵・便益)をはっきりと伝える。広告が本来の機能を発揮するなら、消費者の中に「決定回避の法則」が入り込む余地はなくなる。広告人は今こそ広告本来の役割を心に留め、商品やサービスのベネフィットを明確に伝えていくべきだろう。消費を上向きにできるかは、広告にかかっていると思う。



マーケティングプランナー

臼井 栄三

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  株式会社サン広告社 取締役アカウントグループ統括部長 松坂 孝一
「サロマンブルーのその先に」


僕が育ったふるさとが死にかかっている
僕が育った、と言っても3歳から13歳まで住んでいたまち
たかが10年
でも僕にとっては家族と過ごした思い出の詰まった貴重な10年


ふるさとから引っ越してすぐに父は死んでしまった
母と弟が泣きながら争っている音がいつも部屋の向こうから聞こえてきた
思春期だった僕は高校を出てすぐに家を出た
ススキノの飲み屋で働きながら寝る場所を求める毎日だった
ブランデーのボトルを一気飲みしてチップをもらっても何に使ったか覚えていない
1年と半年後、気が付いたら病室にいた
友人の助言で大学に行った


奨学金をチャラにしようと教師を目指した
ダメだった
卒業しても正社員として就職できなかった
いろんなバイトをして食いつないでいた
ハローワークで正社員の仕事を見つけてとある営業についた
なんとなくうまくいった
ある日、新しく入ったおばちゃんにすぐに成績を抜かされた
落ち込んだ
転職しようと思った
またハローワークに行った
営業には懲りた
でもほとんど営業しか募集がなかった
相変わらずの就職難だった
五十音順に営業職に片っ端から応募していった
全然だめだった
偶然「サ行」で引っかかった
広告代理店だった


この業界で自ら汗を流さずとも利益を得ている人をたくさん見た
プロでもないのに仕事のゴルフが存在することを初めて知った
タクシーがこんなにも気軽に乗れるものだと初めて思った
領収書がお金の代わりみたいなものであることを知った
まるで織田裕二が出演するトレンディドラマのような世界だった


すげえな札幌
すげえな業界人


広告を出していても、つぶれていった会社もたくさん見た
B4サイズのチラシを両面カラーにするかどうか真剣に悩んでいる人がいた
「いつかは新聞広告かテレビCMやりたいね」って言って笑っていた
「こどもがまだ小さいから頑張らなきゃ」って言っていた
ある日突然その会社はなくなっていた


ふるさとから引っ越して35年
とあるきっかけで「ふるさと」とつながることができた
残念ながら広告の仕事がきっかけではない


ふるさとで人とのつながりができた
天然の行者ニンニクを採り、
美しい山女魚の釣りを楽しみ、
美味しいキノコを採りにいき、
ワカサギ釣りを楽しめるようになった
『僕のふるさとってこんなにも素敵だったのか!』
実家というものが無い私にとって、
13歳から失っていた心の帰属先を得ることができた


そんな大切なふるさとが無くなろうとしている
ゆっくりとじんわりと、現在住んでいる人が気にならない速度で滅んでいっている


もし大切なふるさとが滅びずにすむ広告があるなら力を貸してください
大切な人を失わずに済む広告があるなら教えてください
どんな手を使ってでも出稿料を集めてきます
よろしくお願いします。

※画像はAIが描いた「広告の力」です

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