「リメンバーザタイム」

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2024年がやってきた。
コロナの時代に突入したのが2020 年1 月下旬頃だったので
早いものでもう4 年が経ちました。
私は昨年そのコロナ禍が原因で悩まされていた現象があります。
 それは少し前のことを思い出そうとするとコロナ禍前年の2019 年のことを思い浮かべてしまい、まるで2020 年の1 月より続く長過ぎる冬眠から目覚めてみるとそこは2023 年の初夏だったというようなさしずめタイムリープ的な感覚です。
ググっても適当な答えにはたどり着かず、もやもやとしたまま秋になった頃、某ネットニュースで海外の女性向けの雑誌から和訳で転載された記事を発見し、私は深呼吸の後深くうなずき、このうまく説明できない現象に名前があったこと、そしてどうやら世界中にその感覚に悩まされている人々がいることを知りました。
その現象の名前は「パンデミックスキップ」です。
 私達は生まれて初めて自粛の日々を過ごしました。
日々単位から年間単位における生活ルーティーンの一時停止を余儀なくされました。
未知のウイルスに混乱する中で、停止の号令は緊急事態宣言でかかったとして再開の号令はあったのでしょうか?
昨年3 月のマスク自由化、そして5 月の5 類移行がそれに該当するのかもしれないという疑問を抱きつつも徐々に社会の動きが歩みを進め始めました。
私もgo to トラベルを利用して東京へ旅行に出かけたり、GW には大阪の繁華街をうろうろしたりなどして、なんだか今までにないような開放感のあるうきうきとした春を過ごしていました。
そして、賑わいの後にやってくるのはきまって静けさです。無音になった頭の中で考え始めたのは「去年の今頃どうしてた?一昨年は何してたっけ?」という問いかけでした。
 去年までの自分と比較しようとしてもあまり象徴的な出来事がないどころか、2019 年のことばかり想い出してしまい間がすっぽり空いてしまっているかのような混乱が発生していたのです。年齢も過ぎた時間の分だけ重ねているはずなのにまるでそんな気がしない。
まだ私だけ2020 年に取り残されているかのよう。
昔好きだった場所でまた親しみのあるルーティーンを取り戻そうにも街の様子も様変わりしてしまっており、4 プラ、TSUTAYA 、PASEO 、ESTA 、お気に入りのカフェやヘアサロンなど気付けばもうなくなってしまっていて喪失感が募るばかり。
長蛇の列をなしていたPCR 検査センターもとっくに役目を終えてあの景色が幻だったかのように思えます。
 海外サイトによるとパンデミックスキップの乗り越え方には諸説あるようですが、私はまたよく会えるようになった古い友人にこの現象の話をして、自粛期間中はどう過ごしていたかを聞いてみることにしました。
反応は「何も変わらない日々だった」「パンデミックスキップにはなっていない」というものでしたが、私達がそれぞれじっと過ごしてきた日々を話題にすることで空白の時間がほんの少しだけ埋まったかのような感覚を覚えました。
喪失感や寂しさや過ぎて行った時間への焦りの感情を乗り越えた先には何があるのかまだわかりません。
でも、過去を懐かしんだり自分の足跡を確かめたりすることは現在に焦点を当てるために必要な作業です。
 一時停止した時間から現在とのギャップを完全に埋めることはおそらく不可能で、今はまだサブスクで懐かしい曲を聞きまくってしまうけれど、新しくならざるを得なかった色々を気が済むまでやってみよう。
そしてまた何か見つけたら古い友人や誰かに話してみよう。
2024年を迎えて今、そう思っています。

 株式会社弘報案内広告社

業務部 媒体課

桑折珠実