『明日へのベクトル』 ポストコロナ時代への一つのカギ。 マーケティングプランナー 臼井 栄三
最近、ナッジについての話を耳にすることが多くなった。
会話でも「これはナッジだね」などと使われている。
このナッジ、僕はポストコロナ時代のキーワードになる予感がする。
ナッジ理論は米国の経済学者でシカゴ大学教授のリチャード・セイラーによって確立された。
セイラー教授は2017年にノーベル経済学賞を受賞している。
ノーベル賞と書くと難しい学説のようだが、ナッジは私たちの身近なところに活かされている。たとえば札幌市営地下鉄の駅の階段には「ここまで上ると1.1kcal」などと、消費したカロリー表示が書かれている。日ごろ運動不足を感じていれば、カロリー表示を見て「よし、階段を歩こう」という気持ちになる人もいるだろう。
ナッジ(nudge)は、「ひじで軽く小突いて合図する」という意味だ。転じて、人びとの行動を望ましい方向に自発的に選択するよう促す手法を表す。
ナッジの代表的な例としてよく挙げられるのが、オランダのスキポール空港の男性用トイレだ。便器の中に、一匹の蠅が精密に描かれている。小用を足す男性は自然にこの蠅をねらう。この行為はもう、本能のようなものだろう。その結果、トイレはきれいに使われ、空港は清掃費用を大きく減らすことができた。
スキポール空港のトイレの話は、ほんの一例に過ぎない。すでにナッジはいろいろな場面で活かされている。ちょっとしたナッジの工夫で人びとが望ましい行動をとるなら、これを活用しない手はない。イベントや展示をはじめとして、広告活動にはナッジをうまく使っていける機会が多いのではないだろうか。
ポストコロナ時代を見据えて、さまざまなアプローチが試されている。
ナッジは、そんな時代への一つにカギになるに違いない。
マーケティングプランナー
臼井 栄三