『明日へのベクトル』 想像力と創造力が問われていく。


「20万円あげるから、1ヵ月の私生活データを全部提供してほしい」とある企業が言ってきたら、
あなたはOKするだろうか?実際に、1ヵ月のプライベート情報をすべて収集する「社会実験」が、
スタートアップのPlasma(東京)によって取り組まれた。
被験者の自宅の浴室以外の部屋に複数のカメラを設置し、動画を収集する。
家の中での個人の生活は24時間、1ヵ月間、丸裸になる。これまでも似たようなリサーチはあった。
「家庭内観察」と呼ばれる手法で、家族の了承を得て日常行動(食事、くつろぎなど)をビデオに収め、
交わされる会話や家族どうしの相互作用を記録する。家庭で消費などの意思決定がどうされるかを
調査するものだ。Plasmaの社会実験では、そのカメラがリビングルームやキッチンだけでなく、
寝室や脱衣場、トイレにまで設置される。より詳しい私生活データが収集されることになる。
いままで踏み込めなかった個人のリアルな実生活データが得られるだろう。
それを商品開発や販売戦略などに活用しようとする企業も現れるに違いない。
 この社会実験、20日間の募集で1,311人から応募があったという。
その中から4人の被験者宅にカメラが設置され、動画が収集された。Plasmaのホームページには
「ただ生きているだけで人は価値を生み出せるか?」という、この実験のキャッチフレーズも掲載されている。
生き様のデータを提供することで金銭的対価を得ることも、これからは十分にあり得る選択肢になるかもしれない。
 だけど、どこか割り切れない気持ちが残るのは何故だろう。人間の基本的な生活を支える
プライベート空間だけは、そっとしておきたい気もする。また、私生活の動画は行動として現れただけの
プライベート情報に過ぎない。行動に現れない潜在意識、そして心や脳の動きが、より重要とも感じる。
私たちの想像力と創造力がますます問われていくのではないだろうか。

マーケティングプランナー  臼井 栄三