『明日へのベクトル』 文化の波を、北海道から起こしていく。 マーケティングプランナー 臼井 栄三
農民オーケストラのことを聞いたことがあるだろうか。ここ北海道で、農業を生業としている人たちや農業関係の仕事に携わる人たちが中心になって、活発に音楽活動を続けている。
北海道農民管弦楽団が牧野時夫代表を中心にして設立されたのは1994年。翌95年1月には、札幌芸術の森において旗揚げ記念公演が開かれた。それ以後、北海道内などで毎年演奏会を行っている。2011年には、北海道の酪農に大きな影響を与えたデンマークでの公演も実現した。2013年には宮沢賢治の故郷・岩手県花巻市と、東日本大震災で甚大な津波被害を受けた陸前高田市で公演を行った。これをきっかけにして、東北にも農民管弦楽団が誕生している。
北海道農民管弦楽団は、昨年イーハトーブ賞を受賞した。宮沢賢治の名において顕彰されるにふさわしい、実践的な芸術活動と認められた証である。北海道農民管弦楽団は宮沢賢治が理想としながらも果たし得なかった、農民による文化的で創造性豊かな社会を追い求めている。モットーは「鍬で大地を耕し、音楽で心を耕す」。まさに宮沢賢治の精神が、現代に脈々と息づいているのだ。
今年2月に札幌コンサートホールKitaraの大ホールで開かれた、彼らの創立25周年記念定期演奏会を聴いた。約100名のゴーシュ合唱団による混成合唱を含む盛りだくさんの内容だった。北海道の農業者から、地域文化が着実に花開くのを実感し、誇りに感じた。
定期演奏会のプログラムに、東北農民管弦楽団からのメッセージが載っていた。「いつかこの北海道農民管弦楽団の播いた種がWorld Farmers Orchestraとして世界中の芸術を愛する農民達と共に人々の国を越えた友愛に寄与する日が来るのではないかと想像を膨らませております」と書かれていた。
文化は人を心豊かにする。広告文化の一翼を担っている私たちは、北海道から新しい波を起こす気概を常に持ち続けていたい。
マーケティングプランナー
臼井 栄三
臼井 栄三