『明日へのベクトル』 ‟気づき”を、自ら得るために。 マーケティングプランナー 臼井 栄三



企業は継続的に経済活動を営む組織体である。当然ながら、好調のときも停滞のときもある。業績が良くないとき、それを上向きに変えようと、今よりかなり高い売上げ目標を掲げる会社が多い。当然の取り組みのように思えるが、その目標が達成されることは稀である。社員からは「いまは景気が悪いから仕方がない」「そのうちなんとかなるはず…」といった、諦めにも似た声が聞こえてくる。こんなとき、どうすればいいのだろう?

表面上は無気力を装っていても、社員は心の中でさまざまな不満や不安を抱えている。その不満や不安に正面から向き合い、社員自ら深く考えることが大切なのではないだろうか。できれば社員同士が本音で不満や不安を徹底的に話し合う機会を持ちたい。中途半端に不満や不安をくすぶらせているより、そのマイナスの感情を深掘りして飽和状態に持ち込むほうが良い結果に繋がりやすい。

うつ病の人に‟頑張れ”の言葉をかけるのは逆効果になることが多い。その人の話をよく聴き、共感してあげるのがいいと言われている。これと同じように、マイナスの感情を力ずくで変えようとするのではなく、それを飽和させることによって自己復元力が働くのだと思う。社員自身が徹底的にネガティブな感情に向き合い、深く考えることで初めて‟気づき”を得ることができる。

株式用語で「底を打つ」という言葉がある。株価が下がるだけ下がって大底を確認し、その後は上昇カーブを描いていく。意識の中でマイナスの感情を飽和状態まで持っていき、限界が見えて初めてものごとは反転するのではないだろうか。自分の力で徹底的に考えて、‟気づき”を得た人は強い。次代への変革のエネルギーを力強く発揮していくはずだ。どれだけ真剣に真正面から厳しさと向き合えるか、それが一人一人に問われている。 



マーケティングプランナー

臼井 栄三