『明日へのベクトル(連載124)』 地域はマーケティングで強くなる。 マーケティングプランナー 臼井 栄三
2025年11月末、北海道の人口がとうとう500万人を割ってしまった。住基ネット上の総人口は499万9439人。ピークだった1998年から約70万人、率にして12%以上減少したことになる。近年の少子高齢化を反映して、出生数が死亡数を下回る自然減が続いている。それに加えて僕が残念に感じるのは、20代を中心とした若者の道外流出が進んでいることだ。
そんな中でも、人口が増えている町がある。空知管内の南幌町と上川管内の東川町だ。どちらの町も移住するのに魅力ある施策を展開している。南幌町は札幌圏でありながら、安価な分譲住宅地が用意された。さらに、子育て世代への支援策が充実している。
東川町は地域の魅力を創り出し、それを伝えることに長けている。たとえば「三つの道(国道・鉄道・上水道)がない」ことを、町の強みに転換している。公営の上水道がなく、各戸は地下に流れる大雪山の伏流水を汲み上げる。天然のミネラルウォーターを使って調理し、顔を洗い、風呂に入るわけだ。また写真甲子園のイベントは知名度を高め、町のイメージアップに役立っている。
人口が増加している市町村を全国的に見れば、千葉県流山市が代表格だ。この10年間、毎年人口が増え続け17万人強から21万人強へ4万人以上増えている。流山市は全国の自治体に先駆けて、20年以上前にマーケティング課を設置。課長を公募した。マーケティング課は市のブランド化を推進し、首都圏中心に市の魅力をPR。『母になるなら、流山市。』のコピーは首都圏で注目を集め、ターゲットである子育て中の共稼ぎファミリーの心に響いた。
マーケティングの重要性が、地域に理解され始めている。各地域でマーケティング戦略の成功例も出てきている。広告界が地域の発展に大きく寄与する時代が、やっと到来したと感じている。
マーケティングプランナー
臼井 栄三