『明日へのベクトル(連載129)』 北海道のプレゼンスをさらに高めたい。 マーケティングプランナー 臼井 栄三

 7月に副首都法が公布された。大規模災害時に首都機能を代替する地域を定めるものだ。また、副首都は多極分散型の経済圏の中核となる機能も担う。つまり、平時は副首都が経済の成長拠点であり、非常時には首都機能のバックアップを担うわけだ。
 副首都に指定されると国の機関などの拠点や機能の整備をはじめ、民間事業所の移転を促す税制などが期待される。都市機能の整備や規制緩和も進められるだろう。
 現在、副首都の候補として大阪、福岡、愛知そして北海道などが挙げられている。いま気になるのは、副首都指定による地域の経済的メリットばかりが議論の先に立っていることだ。もっと日本全体、そしてこれからの社会と世界を見据えた議論が広がってほしい。
 重要なのは、東京に一極集中し過ぎたわが国を、多極分散型社会に変えていくことである。政治、行政、経済が首都圏に集まり過ぎていることによって、日本社会のサステナビリティ(持続可能性)に黄信号が灯っていると考えるのは僕だけではないだろう。東京一極集中はある時期までは効率的だったかもしれないが、脆弱な面も目立ってきている。重層的な経済社会の実現に、一極集中はマイナスになりかねない。
 かつてGDP世界2位だったわが国は、現在では4位である。IMF(国際通貨基金)の見通しによると、2027年にはインドとイギリスにも抜かれて世界6位まで後退するという。東京一極集中の弱点がすでに現れているのかもしれない。
 副首都を、広く世界の中の日本という視点から考えるべきだ。そのうえで北海道の副首都としての優位性を、北海道内外にしっかり伝えていくことだ。まだまだ北海道は理解されていない面が多いし、誤解されていることもある。北海道の重要性とプレゼンスを高めるために、広告界に寄せられる期待はますます大きくなっている。

マーケティングプランナー

臼井 栄三