明日へのベクトル 注目したい、もうひとつのブランド戦略。 マーケティングプランナー 臼井 栄三



ブランドの重要性が叫ばれて久しい。多くの企業が資産としてのブランドを確立しようと、熱心に取り組んでいる。しかし、狙いどおりにブランド・パワーを高めている企業は決して多くない。
一般的にブランドとは、製品やサービスを特徴づける名称やシンボル、マークなどの総称である。ブランドには消費者の思いや感情、感覚、行動などが反映されている。
僕が注目しているのは、商標やシンボル、ロゴマークなどに頼るのではなく、言葉に代表される考え方や概念を自社ブランドのマーケティング活動のために用いる行為である。このアプローチは生活者に広くアピールしやすく、もっと活用されていい。
例をあげれば、サントリーはハイボールという以前からある飲み方を新しく提案することで、「ハイボール=サントリーウィスキー」という連想関係をつくり上げた。
「未病」という東洋医学の概念を、ブランドに結びつけたのは養命酒だ。未病とは病気というほどではないけれど、病気に向かいつつある状態のことを指す。手足が冷えたり身体が疲れやすかったりなどの症状がある。これを改善するのが養命酒というわけだ。
このような提案や問題提起は、コンセプトが生活者に新鮮であればそれだけ印象的にブランドをアピールすることになる。北海道でも、うまく応用したいブランド戦略だ。
たとえば釧路市では避暑のために、本州方面から相当数の長期滞在者が訪れている。「不知暑」(ふちしょ=暑さ知らず)という概念をアピールすれば、夏の釧路市のブランド・パワーはさらに高まるのではないだろうか。 
言葉や概念をブランディングに役立てる戦略を、コンセプトブランディングという。中央大学ビジネススクールの田中洋教授の造語だ。ここ北海道なら、どんなブランディングができるか。広告人が地域や企業のために、活かしていきたいアプローチの一つである。

マーケティングプランナー
臼井 栄三